化学塗料の石油や合成顔料を原料として使用せず、傷や汚れの経年劣化が味わい深く表現されるのが自然塗料です。健康的な面はもちろん、見た目の面でも効果を発揮してくれます。
基本的に自然塗料は、アマニ油やひまわり油といった植物油を原料にした「オイル系」や、松脂や子パールなどの天然樹脂を溶剤にした「ワニス系」、蜜蝋などの蝋を主成分とした「ワックス系」があります。
素人でも扱いやすいため内装はプロに任せて、家具などは施主自身が塗る家庭も多いようです。 ただしアレルギーなどの症状を持っている場合は、成分によっては体質に合わないものもあるため、必ず主成分を確認してから使用するようにしましょう。
オイル系の自然塗料には、アマニ油やひまわり油、エゴマ油など、植物油を原料としたものがあります。
木材の導管にオイルを浸透させて水をはじき、木を保護します。
表面には塗膜を作らないので木目の質感が妨げられず、木材本来の風合いが活きた仕上がりになるのが特徴です。
ワニスとは、一般的に「ニス」とも呼ばれる、木材の表面を保護するための塗料です。自然素材のものには、昆虫の分泌物から作る「セラックワニス」と、樹脂を原料とする「油ヤニス」があります。
木材に塗装すると、ツヤ感のある透明な塗膜を作り、木材の調湿機能を残しつつも水や紫外線から素材を守ります。
ワックス系の自然塗料とは、ミツバチの巣を構成するロウから作られたミツロウなどを主原料とするものです。
木材の表面をコーティングすることで、無塗装のような自然な仕上がりながら、素材をしっかりと汚れから守ってくれます。
ワックスタイプは単独で使用されることはあまりなく、オイルやワニスを塗装した後の補助膜として使用されるのが一般的です。
自然塗料は、木目の質感や美しさを残した仕上がりと、年月が経つにつれて深まる風合いが大きなメリットです。木の呼吸を妨げないため、木材が本来持つ調湿効果なども活かすことができます。
主原料が天然の成分であるため、化学塗料に比べて安全性が高く、環境にも優しい点もポイントです。
自然塗料のデメリットとしては、化学塗料に比べると耐久性が低いことと、施工に時間がかかることが挙げられます。また、化学塗料より安全性が高いとはいうものの、すべての人にアレルギーが出ないとは限りません。
特に塗料の場合、前述のように日本では「自然塗料」の定義にあいまいな面があるため、製品選びは慎重に行いましょう。
天然の素材を主な原料とする自然塗料には「オイル系」「ワニス系」「ワックス系」の3種類があり、それぞれに異なった特徴があります。木そのものの美しさをより引き立ててくれるので、木材にこだわった家の塗装剤としてはとても適していると言えるでしょう。
ただし、化学塗料に比べて耐久性・耐候性は高くなく、経年による劣化も起こるため、小まめなメンテナンスが必要です。