珪藻土は、藻類の一種である「珪藻(けいそう)」が化石化したものです。その骨格(殻)に無数の細かい穴(細孔)が空いていて、調湿性能や断熱性能などの特徴があります。
日本で住宅の材料として用いられるようになってきたのは比較的近年ですが、古代ギリシャや6世紀のトルコの建築物に用いられていたほど、歴史のある自然素材です。細孔の特徴から「マクロポア」「メソポア」「ミクロポア」に分類され、このうち住宅の塗り材に利用されるのは「メソポア」です。
珪藻土の、細孔の大きさによる分類のうち「中くらい」にあたるのが「メソポア」です。
住宅の壁に珪藻土が用いられる大きな理由は調湿性能ですが、3つの分類の中で、湿度がちょうどよくコントロールされるのはメソポアのみとなっています。
珪藻土の壁は「呼吸する壁」と呼ばれることがあります。空気中の水分を吸収・放出する「調湿性能」があるため、人間にとって快適な湿度を保ってくれるのです。
同時に、ニオイの元となる物質を吸収する「消臭性能」も兼ね備えているため、タバコや、魚を焼いた時などのニオイを和らげてくれることが期待でき、キレイな空気の中での生活が叶いそうですね。
珪藻土特有の、ザラザラとしたスタイリッシュな質感も人気です。
珪藻土のデメリットとして、その性質上「ポロポロ粉が落ちやすい」「ヒビが入りやすい」という点が挙げられます。また、高い吸水性があるため液体がしみ込みやすく、ジュースや醤油などをこぼしてしまうと落とすのが困難です。
メンテナンスに特に難しいことはありませんが、他の自然素材に比べても丁寧な扱いは必要と考えた方が良いでしょう。
珪藻土は、塗り壁ならではのナチュラルな風合いとともに、調湿性能をはじめとする特徴を備え、快適な住まいづくりに役立つ素材です。化学物質を含まない自然素材なので、シックハウスなど健康被害のリスクが低いところも嬉しいポイントですね。
メンテナンス面で多少手間がかかることがデメリットとも考えられますが、丁寧にお手入れをしながら住み続けていくことで、愛着のわく住まいとなるでしょう。